Flow 労災事故発生から解決まで

適性な慰謝料・賠償額を得るために
「早めの行動・相談」がポイント

死亡事故の慰謝料・損害賠償は刑事裁判がキーとなる

労災事故発生から解決まで 1

解決までの流れ

解決までの流れ 解決までの流れ

(1) 労災事故の発生

労災事故の発生

労災事故発生時のポイントは2つです。

ポイント 1

すぐに病院に行きましょう

救急搬送されなかったとしても、痛みやしびれなどを感じる場合は、すぐに病院へ行きましょう。
放っておけばいずれ良くなるだろうと言って病院に行かない方がいらっしゃいますが、思ったとおりに良くならなかった場合、しばらく経ってから病院に行ったとしても、治療費を払ってもらえなくなってしまいます。
また、労災事故で痛みを感じた場合に請求できる慰謝料も、すぐに病院に行かなかった方は請求できなくなってしまうことがあります。
すぐに病院に行かなかった場合は、慰謝料がいくらもらえるかという金額の話に移る前に、そもそも事故と通院との因果関係が無いと判断されてしまうのです。
因果関係がないと判断されてしまうと、治療費、通院交通費、慰謝料など一切の損害賠償請求が認められなくなってしまいます。
まったく症状がなく無傷なのであればいいのですが、どこか身体に異変がある場合には、小さな異変であっても、すぐに病院へ行くようにしてください。
なお、整形外科的な痛み・痺れではなく、過労やハラスメントによる精神疾患の場合も、早めに心療内科や精神科に受診されることをおすすめします。

ポイント 2

早めに弁護士に相談しましょう

労災事故発生後の初動でミスをしたために、適正な慰謝料などの賠償金を受け取れなくなってしまうケースが多々あります。

病院での対応を間違えると、後々の慰謝料請求額などに大きな違いが出てしまいます

労災事故の発生から初診までの期間が開いてしまうと、因果関係が否定され、一切の損害賠償請求ができなくなってしまうおそれがあることは先ほど述べたとおりです。
また、労災事故の発生後すぐに病院には行ったが、診察する科を間違えてしまったという場合も、将来請求する慰謝料額が減らされてしまうことがあります。
例えば、労災事故の後に耳鳴りがするようになったという方は、本来耳鼻咽喉科に行かなければなりませんが、それを知らずに整形外科に行き続けてしまうと、耳鳴りの症状が残ってしまったとしても、耳鳴りの症状に対する賠償が受けれなくなってしまうおそれがあります。
また、事故の恐怖から、事故の時の夢にうなされるといった症状が出た方は、本来心療内科や精神科に行かなければPTSDの診断を受けることができませんが、それを知らずに整形外科に行き続けてしまうと、フラッシュバックなどの症状が残ってしまったとしても、その症状に対する賠償が受けれなくなってしまうおそれがあります。
他にも、中心性せき髄損傷など早期にMRI撮影をしなければ、せき髄損傷の所見が確認できなくなる可能性のあるケースなど、労災事故発生直後に撮影しなければならない画像や、検査の実施が必要な神経学的所見というものが存在します。
心療内科や精神科の受診も、初診日がいつか、というのが重要なポイントとされています。
こうした判断は専門の弁護士でないと難しいので、まずは、こうした事態にあたるのか否かも含めて弁護士に相談されることをおすすめします。

ご相談の流れはこちら >>

(2) 治療期間中のポイント

治療期間中のポイント

治療期間中の動きは、今後の慰謝料額などの損害賠償を考える上で、とても重要です。

ポイント 1

通院頻度は慰謝料額に影響します

当事務所では週2~3回程度のリハビリ通院をおすすめしています。
弁護士に依頼した場合、慰謝料額は裁判基準となりますが、週1回以下の通院頻度の場合、裁判基準満額の慰謝料額を得られなくなってしまうことがあります。
ただし、骨折の治療、眼科治療など週2~3回の通院が必要ではない診断名の場合もありますから、その場合は、治療期間が長期になりすぎないことと、定期的な通院(月1回など)を心がければ、慰謝料額を減らされずに済むこともあります。
慰謝料算定は様々な要素の総合考慮で判断される非常に難しい損害費目ですので、慰謝料額が気になる方は、労災事故被害者側専門の弁護士に相談されることをおすすめします。

慰謝料算定の詳細はこちら >>

ポイント 2

通院の仕方は障害等級に影響します

労働基準監督署は障害等級の審査の際に通院の仕方も見ています。
神経症状(痛みやしびれ)の場合、週2~3回程度の頻度で通っていた方が、障害等級が取りやすくなります。
逆に、通院頻度が少ない場合や、通院の間に数週間以上の空白期間がある場合は、障害等級が付きにくくなります。
これは診断名や症状によっても異なりますが、障害等級は治療中の過ごし方、通院の仕方などによって差が出ますので、早めに労災事故被害者側専門の弁護士に相談することをおすすめします。

ポイント 3

医師への症状の伝え方に注意

診察やリハビリの際に、お医者さん・理学療法士さん・看護師さんなどに症状を聞かれると思いますが、その時の回答にも注意が必要です。

NG1「先生のおかげでだいぶ良くなりました」と伝えること

本当によくなっているのであれば、素直にそう伝えてもらっていいのですが、まだ症状が良くなっていないにもかかわらず、先生のおかげで良くなったと話してしまうと、診断書やカルテにその旨書かれてしまい、それが将来の障害等級認定や示談交渉・裁判の際に不利な証拠として働いてしまいます。
例えば、首の痛みが残ってしまったために後遺症の主張をするというケースにおいて、治療期間中に「だいぶ良くなった」と本人が言っている旨の記載が診断書やカルテに残っていると、この時だいぶ良くなったと言っているから、後遺症は残らないような症状だったと認定されてしまったり、治療費の打ち切りが行われやすくなってしまいます。
人の良い方は、お世話になっている先生の治療の成果を伝えてあげようとして、良くなったなどと安易に伝えてしまうことがありますが、症状が残っているうちは、まだ症状が残っている旨素直に伝えましょう。

NG2症状の伝え漏れ

例えば、首と右手首が痛かったという場合で、病院の先生から首のことばかり聞かれるものだから右手首の痛みの話はしなかったという方がいらっしゃいます。
病院で症状を伝えないと、証拠上は、痛みが無かったものとして扱われてしまうので、病院ではすべての症状を伝えるようにしましょう。
後から、実は右手も痛かったのですと言っても手遅れになってしまうことがあります。

ポイント 4

病院選びに注意

(1)病院の規模の違いに注意

労災事故の場合、整形外科へ通院することが多いですが、整形外科といっても、町医者・総合病院・大学病院など様々な種類があります。
障害等級第14級の9の認定の場合は、主に治療やリハビリの状況や症状の推移が見られますから、予約の取りづらい大学病院や総合病院よりも町医者へ通院した方が適したケースもありますが、高精度のMRIやCTの撮影や電気生理学的検査など専門的な検査が必要な場合は、大学病院や総合病院への通院に馴染むことになります。
事故の内容や症状によって適した病院の規模が変わってきますので、まずは被害者側専門の弁護士に相談されることをおすすめします。

(2)病院の診察科の違いに注意

また、ずっと整形外科に通っていたが、耳鳴りの症状もあるであるとか、事故の瞬間を思い出してしまい横断歩道が渡れなくなったであるとか、本来整形外科以外に通わなくてはならないといったケースも存在します。
だいぶ日が経ってから、耳鳴りで本来通うべき耳鼻咽喉科に通ったであるとか、PTSDで本来通うべき心療内科や精神科に通ったというのでは、初診日が遅すぎるということで、労災事故との因果関係が否定されてしまうことがあります。
主治医から、この症状についてはこちらの診察科に通ってくださいなどのアドバイスがあればいいのですが、1つ1つの症状についてアドバイスをもらえないこともありますので、気になる方は被害者側専門の弁護士に相談されることをおすすめします。

相談の流れはこちら >>

ポイント 5

必要な画像撮影や検査を受けましょう

医学的に必要な画像撮影や検査については、お医者さんが判断するところですが、障害等級の獲得や慰謝料などの損害賠償請求のために必要な画像撮影や検査というものが存在します。
これらをしておかないと、適切な障害等級の認定を受けられず、また、慰謝料額などの損害額も少なくなってしまいます。
必要な画像撮影や検査は、診断名や症状によって異なりますので、それぞれのパートをご覧ください。

骨折 >>

靭帯損傷(腱板損傷・TFCC損傷・関節唇損傷・半月板損傷など) >>

CRPS >>

せき髄損傷(頚髄損傷・胸髄損傷・腰髄損傷) >>

高次脳機能障害 >>

(3) 症状固定=障害診断作成のポイント

症状固定=障害診断作成のポイント

障害診断作成ポイントを3つ紹介します。

労働者災害補償保険診断書

ポイント① 傷病名

①傷病名(診断名)は漏れなく記載する必要があります。
漏れがある事例としては、通院していた病院が1つではなく複数ある場合に、他院で診断された傷病名が記載されていないというケースが散見されます。
これにより障害等級の認定に影響が出ることがありますので、注意が必要です。

ポイント② 療養の内容及び経過

治療の内容や経過について記入します。
丁寧な先生ですと、別紙を作成してくれて、労災事故の発生内容から障害が残ってしまうまでの経緯についてご説明いただけることもあります。
事案によって、どこまで書いた方が良いかは異なってきますので、被害者側専門の弁護士にご相談されることをおすすめします。

ポイント③ 障害の状態の詳細

症状固定時の状態について、詳細にご記入いただきます。
残存症状を漏れなく書くことと、その症状の裏付けとなる他覚的所見について記載していただくことが重要となってきます。
「障害の状態の詳細」のパートは、傷病名などによって記載のポイントも異なってきますので、具体的な説明については下記をご覧ください。

骨折 >>

靭帯損傷(腱板損傷・TFCC損傷・関節唇損傷・半月板損傷など) >>

CRPS >>

せき髄損傷(頚髄損傷・胸髄損傷・腰髄損傷) >>

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(4) 障害等級の申請
(障害(補償)給付支給申請)
⇒労働基準監督署による審査

障害等級の申請⇒スポーツ振興センターによる審査

障害等級の申請は、どのような資料を付けるかがポイントです。
障害診断書の記載内容が最も重要ですが、それに加えて、他の医学的証拠を提出した方が良いケースもあります。
また、当事務所では、医師名義の意見書や弁護士名義の意見書を提出することもあります。

(5) 障害等級認定と審査請求

障害等級認定と不服審査請求査

障害等級の結果が出たら、情報公開請求により認定理由を入手することができます。
認定理由が納得いくものであれば、障害等級を確定として、それに応じた損害賠償額を計算し、加害者や会社に内容証明郵便を発送します。
認定理由が納得のいくものではない場合は、審査請求を行います。
審査請求は、当該労災保険給付の決定があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内にしなければなりません。
審査請求は、最初の申請の際と同じ証拠を提出しても、結果が変わらないことが多いので、新しい証拠を追加して行います。
新証拠を追加した審査請求でも納得いく結果が得られなかった場合には、諦めて交渉に進むか、再審査請求を行うか、裁判によって障害等級の主張をしていくかということになります。
なお、加害者がいない事故や、会社の管理が十分であったのに事故をしてしまったという場合(例えば、自分の不注意で転んでしまって大けがをしてしまったなど)は、労働基準監督署への障害等級獲得による障害(補償)給付を受け取って事件終了となります。
障害(補償)給付は障害等級によって異なります。
金額は加害者や会社への損害賠償請求が認められるケースと比べると低額になりますが、自身の不注意による事故ですので致し方なしということになります。
第1級~第7級までは障害(補償)年金の支給となり、毎年支給がなされます。
第8級~第14級までは障害(補償)一時金の支給となり、一回の支給がなされます。
具体的な基準は、下記のとおりです。

障害等級 障害(補償)年金
又は一時金
障害特別年金又は一時金 障害特別支給金
第1級 毎年 給付基礎日額の
313日分
毎年 給付基礎日額の
313日分
一回 342万円
第2級 毎年 給付基礎日額の
277日分
毎年 給付基礎日額の
277日分
一回 320万円
第3級 毎年 給付基礎日額の
245日分
毎年 給付基礎日額の
245日分
一回 300万円
第4級 毎年 給付基礎日額の
213日分
毎年 給付基礎日額の
213日分
一回 264万円
第5級 毎年 給付基礎日額の
184日分
毎年 給付基礎日額の
184日分
一回 225万円
第6級 毎年 給付基礎日額の
156日分
毎年 給付基礎日額の
156日分
一回 192万円
第7級 毎年 給付基礎日額の
131日分
毎年 給付基礎日額の
131日分
一回 159万円
第8級 一回 給付基礎日額の
503日分
一回 給付基礎日額の
503日分
一回 65万円
第9級 一回 給付基礎日額の
391日分
一回 給付基礎日額の
391日分
一回 50万円
第10級 一回 給付基礎日額の
302日分
一回 給付基礎日額の
302日分
一回 39万円
第11級 一回 給付基礎日額の
223日分
一回 給付基礎日額の
223日分
一回 29万円
第12級 一回 給付基礎日額の
156日分
一回 給付基礎日額の
156日分
一回 20万円
第13級 一回 給付基礎日額の
101日分
一回 給付基礎日額の
101日分
一回 14万円
第14級 一回 給付基礎日額の
56日分
一回 給付基礎日額の
56日分
一回 8万円

※給付基礎日額の説明はこちらをご覧ください。

(6) 内容証明郵便の発送による損害賠償請求

障害等級が確定すると、慰謝料額などの損害賠償額が具体的に確定できます。
障害等級に基づいた損害額を算定し、加害者や会社に対して内容証明郵便を発送し、具体的に損害賠償金の支払いを求めていきます。
なお、既に加害者や会社に弁護士が付いている場合や、保険会社が対応する場合には、内容証明郵便は発送せず、普通郵便などで請求することが多いです。

(7) 加害者側・会社側との示談交渉のポイント

加害者側・学校側との示談交渉のポイント
ポイント 1

加害者との示談交渉のポイント

加害者個人よりも会社の方が資産を有していることが多いので、会社にも管理監督上の責任がある場合は、加害者個人ではなく、会社を交渉相手とする方が良いといえるでしょう。
明らかに加害者個人に問題のあるケースで会社の責任は問いづらいような場合、被害者ご本人が会社への責任追及を望まない場合、通勤途中の交通事故被害のケースで会社に責任がない場合などは、加害者個人と交渉をしていくことになります。
内容証明郵便発送による損害賠償請求が加害者宅に届くわけですが、これへの対応は、加害者によって異なります。

  1. パターン1 無視

    内容証明郵便により、損害賠償請求をしたにもかかわらず、何の連絡もしてこない人もいます。
    この場合は、再度督促の手紙を送付するか、訴訟を提起するかのいずれかになります。

  2. パターン2 謝罪なし・怒るなど

    こちら側としては、ケガをさせられて障害が残ってしまったがために損害賠償請求をしているわけですが、これに対して、謝罪をまったくしない方や、逆にこちらに対して怒りの感情をぶつけてくる方もいらっしゃいます。
    このようなケースでは、通常話し合いになりませんので、訴訟を選択するのに適しています。
    なお、「では裁判します」と言った瞬間に、態度が変わり、示談交渉が進むこともあります。

  3. パターン3 謝るがお金がない

    謝罪はするものの、そんなお金はありませんなどと言って、許しを乞うケースがあります。
    事故当初から謝罪の気持ちを示しているのであれば、被害者も納得するケースはあると思いますが、具体的に内容証明郵便で損害賠償請求をしてはじめて謝罪するといったケースですと、当然ですが、被害者側の納得は得られないことが多いです。
    こうしたケースでは、訴訟を選択するのに適しています。
    なお、「では裁判します」と言った瞬間に態度が変わり、なんとかできる限りのお金を集めますなどと言って、示談交渉が進むこともあります。

  4. パターン4 言い値で支払いをしてくる

    大事にしたくないハラスメント加害者の上司などの場合、内容証明郵便で請求した額について、こちらの指定した振込期限までに損害賠償額が振り込まれることもあります。
    こちらの主張が正しい場合は、本来このような態度が当たり前なのかもしれませんが、実際はすぐに支払いをしてくれるケースというのは多くはありません。
    障害等級が認定されるようなケースですと、賠償額が数百万円、数千万円、場合によっては億を超えることもありますので、すぐに支払いができないのも無理もないケースも存在します。

  5. パターン5 保険会社の担当者が出てくる

    通勤災害の場合や、会社の保険が使える場合など、損害賠償請求の支払を保険会社がしてくれることがあります。
    この場合、保険会社の担当者から連絡があり、その担当者と示談交渉を進めていくことになります。
    保険会社との示談交渉のポイントは、保険会社内の決裁金額をなるべく上げることです。
    保険会社の担当者は金額を出せる「枠」というのを持っていて、その「枠」内での解決を目指します。
    当事務所では、担当者の「枠」の上限を早期に引き出し、事案によっては、担当者の上司に「枠」の上限を超すことを認めさせるよう説得し、更に本部決裁や保険会社の取締役会の稟議に回させることもあります。
    当事務所は保険会社側の仕事をしませんので、特に保険会社業界へ配慮する必要がありません。
    また、やみくもに金額を上げろと言っていても、保険会社の担当者は金額を上げてくれませんので、金額を上げるための根拠資料を提出したり、電話口での交渉で保険会社の担当者を説得する必要があります。
    弁護士はいざとなったら裁判をすることができますから、いま示談をしておかないと、裁判になった場合に、より高額の賠償金を支払うことになるという点を保険会社側に説得的に語り掛けていくことがポイントになってきます。
    当事務所の弁護士は、1000件以上の示談交渉を経験してきていますので、示談交渉の際の駆け引きなどを得意としています。
    示談解決で裁判基準満額の賠償金を認めさせたり、裁判基準以上の金額を認めさせたケースも多く存在します。

  6. パターン6 弁護士が出てくる

    内容証明郵便の内容を見た加害者の行動として、どうしたらいいのか分からず、弁護士のところへ法律相談に行ってみるということがあります。
    ここで弁護士に依頼したケースですと、その弁護士が窓口になって交渉をすることになります。
    相手が弁護士ですと、裁判となった場合の賠償水準についてある程度予測ができますので、こちら側としては相手弁護士の予測を助けるべく資料を提出し、裁判で勝訴した場合の水準に近い金額での示談を迫ります。
    相手弁護士としては、裁判となった場合の見立てや依頼者の懐事情(お金をどのくらい準備できるか)などを考えながら、交渉をしてきます。
    加害者の責任が明らかなケースでは、相手に弁護士が付いた方が交渉がしやすいことが多いです。
    相手の弁護士が、加害者本人を説得してくれます。

ポイント 2

会社側との示談交渉のポイント

  1. ① 大企業の場合

    弁護士を立ててきます。
    訴訟沙汰にされると企業イメージが傷つくケースもありますので、高額の賠償請求であっても、応じてくることがあります。
    逆に、企業に一切の落ち度はないということで徹底抗戦してくることもあります。
    徹底抗戦が予想されるケースでは、内容証明による損害賠償請求をする前に、裁判所を介して証拠保全手続をとるなどして、証拠の隠ぺいなどを防いでおく必要があります。

  2. ② 中小零細企業の場合

    中小零細企業の場合の対応は、社長のキャラクターによって異なります。
    強烈なキャラクターの社長の場合は、怒りをこちら側にぶつけてくるなどしてきます。
    こうした場合のほとんどの社長側の言い分は、法的に無意味なものが多いので、交渉に応じない用であれば、裁判を選択するのが適しています。
    ただし、「では裁判します」と言った瞬間に態度が変わり、お金を支払ってくれることもよくあります。
    社長との交渉は、被害者の方本人がされるよりも、弁護士がした方が上手くいくケースが多いように思われます。
    なお、1円たりとも払わないと態度を決めている社長さんもいらっしゃいますので、このような態度が予想されるケースでは、証拠隠滅を防ぐために、裁判所を介した証拠保全手続を取っておくほうが良い場合があります。
    良識のある社長さんの場合は、損害賠償請求の根拠を説明すれば、賠償金を支払ってくれることが多いです。
    ただし、会社の資金繰りの関係で払えないということもありますので、この場合には、分割払いや、仮処分・裁判なども検討しなければなりません。
    その他、弁護士を立ててくるケース、保険を付けており保険会社の担当者が出てくるケースもあります。

(8) 示談による解決

示談による解決

(1)示談をするか否かの基準

示談となった場合には、これで事件解決となります。
示談をしないとなった場合には、裁判となります。
示談をするか裁判をするかの判断は、被害者の方のご意向によって行いますが、弁護士の目から見た判断基準というものがありますので、その点はお伝えさせていただいております。
事案によって異なりますが、一般化して申し上げると、相手方が出せる上限いっぱいの金額を引き出した後に、裁判をした場合に最低限取れるであろう金額との比較を行います。
裁判をした場合に最低限取れるであろう金額に足りないという場合は、裁判をした方が良いということになりますし、これを上回る場合には示談をした方が良いということになります。
示談をしてしまうと、後になって「やっぱり納得がいかない」と言えなくなりますので、裁判をしないとしても、裁判の見立てをしっかり立てた上で、示談をするか否かを判断するのが賢明です。
なお、裁判ではなく、労働審判という手続を取ることもできます。
これも裁判所を介した手続ですが、詳細はコラムをご覧ください。

(2)示談書を書く際の注意点

示談書を書く際の注意点は、これですべて終わりにする趣旨であるのか、将来追加請求の余地を残すかという点です。
例えば、後遺症の部分を除いて、通院慰謝料の示談をするという場合は、将来後遺症についての慰謝料や逸失利益を請求する予定であることを残しておかないといけません。
具体的には、「後遺症に係る損害については別途協議する。」などといった文言を示談書に入れておく必要が出てきます。
これを入れずに示談をしてしまうと、重い後遺症が残ってしまったとしても、後遺症についての賠償も認められなくなってしまう可能性があります。
また、後遺症の内容からして、将来症状が発生することがあり得るケースや、将来追加の手術代などが必要となるケースも存在します。
将来治療費を示談金として支払ってもらえるなら良いのですが、そうでないのであれば、「将来本件事故に基づく症状が発現した場合の損害については別途協議する。」であるとか「将来本件事故に基づく手術が必要となった場合の損害については別途協議する。」などといった文言を示談書に入れておく必要があります。

(9) 民事裁判

民事裁判

管轄権を有する裁判所に訴状を提出して、民事裁判が始まります。
なお、管轄権というのは、事故発生場所(民事訴訟法第5条9号)、被害者の住所地(民事訴訟法第5条1号・民法第484条)、会社や加害者の住所地(民事訴訟法第4条1項)の裁判所に生じます。当事務所の場合、管轄権を有する裁判所の裁判官情報を元に訴訟戦略を練り、依頼者の希望とすり合わせながら、どの裁判所に提訴するかを決定します。
民事裁判では、提訴をした方が原告、された方が被告となりますので、被害者側が原告、加害者側・会社側が被告ということになります。
加害者と会社の双方を訴えることもできます。
第1回期日では、提出した訴状の陳述と、答弁書の陳述がなされます。被告に弁護士が付いたケースでは、形式的な答弁書のみ提出し、第1回期日には欠席することが多いです。
そして、第2回期日において、被告の弁護士から訴状に対する詳細な反論を記した準備書面が陳述され、第3回期日において、原告側の弁護士が再反論をするというような流れで、原告側と被告側の反論-再反論というラリーが続きます。
原告・被告双方の主張と書面による証拠がある程度出揃った段階で、裁判所より和解案が示されることが多いです。
裁判所和解案では、原告・被告双方の主張立証に対する、現時点での裁判所の見解が示され、被告が支払うべき損害賠償額(解決金)が具体的に示されます。
書面で示す裁判官もいれば、裁判の期日において口頭で示す裁判官もいます。
裁判所和解案に、原告も被告も同意するとなった場合には和解成立となり、民事裁判は終了します。
他方で、原告・被告の両方又はいずれか一方が裁判所和解案に同意しないとなった場合には、民事裁判は終了せず、審理が続くことになります。
なお、裁判所和解案に納得しない理由について、証拠に基づき意見した場合、裁判所が和解案を修正してくれることがありますので、和解案を増額するチャレンジをした方が良いケースというのも存在します。
和解が成立しなかった場合には、判決に進みます。
判決に進む場合は、判決前に尋問が行われるケースがあります。
過失割合に争いのあるケースでは、原告・被告双方の尋問が行われることが多いです。
尋問の結果を踏まえて裁判所が判決を書きますが、尋問後に裁判所和解案が出されるケースもあります。
判決に対しては、判決書を受け取った日から14日以内に控訴をすることができます(民事訴訟法第258条)。

労災事故発生から解決まで 2

よくある質問

よくある質問

Q 弁護士さんにお願いした場合、何か月くらいで解決しますか?

事案によって異なります。
まず、治療が終了しないと慰謝料算定などができませんので、少なくとも治療期間中に解決することはできません。
治療がどのくらいかかるかについては、お怪我の内容によりますので、お医者さんにお尋ねください。
完治しないケース(後遺症が残ってしまうケース)ですと、もうこれ以上治療を続けても改善が見込まれないという状況まで治療をしていただくことになります。
この時点を症状固定といいます。
重傷のケースですと、症状固定日以降も、症状悪化を防ぐなどのために治療を続けてもらって構いません。
症状固定時の症状について、主治医の先生に障害診断書を書いていただき、これを元に労働基準監督署に障害等級の申請をします。
そして、確定した障害等級に基づき、加害者や会社に損害賠償請求をして、示談による解決又は裁判による解決という流れとなります。
既に適正な障害等級が確定して、後は示談交渉のみというケースでは、1か月程度で解決することもありますが、通常はもっと時間がかかることが多いです。

Q できれば裁判はしたくないのですが、裁判をせずに解決をすることは可能ですか?

可能です。
当事務所の弁護士には1000件以上の損害賠償請求事例の解決実績がありますが、どちらかと言えば示談による解決が多いです。
紛争というのは、早期に決着させた方が良いと思っていて、裁判をせずに適正な賠償額を回収することに努めています。
また、示談で解決しない場合であっても、労災事故の場合、労働審判という手続を利用することができます。
これは裁判と異なり、3回以内の期日で解決がなされることになっていますので、裁判よりもスピーディな解決をすることができます。

Q 裁判したいのですが、必ず裁判してくれるのでしょうか?

依頼者の方が示談はしないと言っているのに、弁護士が勝手に示談をすることはありませんので、その場合、裁判に進むことになります。
ただし、示談交渉によって、適正な賠償額を引き出すことに成功し、裁判に進んだ場合にはリスクが想定されるようなケースでは、「示談した方が良いですよ」とお伝えさせていただくことになります。
弁護士との契約は委任契約で、信頼関係が基礎となりますから、方針に齟齬がある場合には、先に進むことができません。
こういう意味においては、必ず裁判することを保証することはできません。

Q 裁判をする場合、裁判所に行かないといけなくなるのですか?

弁護士が出廷しますので、裁判所に出向いていただく必要はありません。
なお、希望があれば、一緒に裁判所に行くことは可能です。
また、事故内容に争いがあるようなケースなどでは、尋問が行われますので、その際には、1度だけ裁判所に出向いていただく必要がございます。
なお、尋問の練習は、事前に当事務所において行う予定です。

Q 弁護士さんに依頼した後は、会社と直接話さなくてもよくなるのですか?

はい、弁護士に依頼した後は、被害者の方が会社と事件の内容で話すことはありません。
すべてこちらで対応し、示談交渉や示談書の取り交わしなどもすべてこちらで対応します。

この記事の執筆者

小杉 晴洋
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災などの損害賠償請求解決件数1000件超。

経歴
小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身・福岡市在住。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(当時。現「神奈川県弁護士会」)に登録後(損害賠償研究会所属)、福岡県弁護士会に登録換え(交通事故委員会所属)。