労災事故の解決実績

11級 業務災害 腰椎 骨折

過失に争いある業務中の労災につき、弁護士介入で慰謝料満額の示談!

業務中災害被害者Rさん(50代・男性・アルバイト)

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このページでは、業務中の労災事故で腰椎圧迫骨折の怪我をしたRさん(50代・男性・アルバイト)の事例を実際に解決した弁護士が、

慰謝料満額で解決したポイントを解説します。

 

使用者(会社)には、会社の業務に従事する従業員(労働者)が、業務中に怪我をしたり、

病気になったり、亡くなったりしないように配慮をする義務があります。

安全配慮義務」と呼ばれるその義務は、労働契約法第5条に規定されています。

労働契約法第5条「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

 

条文を見てもわかるように、安全配慮義務の内容はとても抽象的です。

これは、あらゆる会社のあらゆる事例に対応できるように、間口を広くとっているからですが、

逆にいうと、具体的な内容は、個別の事例について検討が必要になります。

ですから、使用者(会社)の側は、「今回の事故には会社としての安全配慮義務を尽くしていた。過失はない

と主張してくる場合があります。

使用者側の過失がないとされると、被害者の過失100ということになり、損害賠償の請求はできません。

 

また、使用者(会社)は労災の交渉について、弁護士を立ててくることが極めて多く、

法律の知識がないと泣き寝入りすることになる可能性もあります。

そういった時に上手く示談金を得るためには、労災熟知した被害者専門の弁護士の介入が必須といえるでしょう。

 

今回は労災事故被害者専門弁護士木村治枝が実際にRさんの事件をどのように解決したのかについて、ポイントを解説していきます。

 

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業務上の労災で会社の安全配慮義務違反を主張する際のポイントは?

業務上の労災で労働者が怪我・病気・死亡などの損害を被ってしまった場合、

会社に安全配慮義務違反があったことを主張・立証する責任は原告(労働者)の側にあるとされています。

公務員の例になりますが、最高裁判所第二小法廷昭和56年2月16日判決  民集 第35巻1号56頁(航空自衛隊芦屋分遣隊事件)では、

次のように判示されています。

国が国家公務員に対して負担する安全配慮義務に違反し、右公務員の生命、健康等を侵害し、同人に損害を与えたことを理由として損害賠償を請求する訴訟において、右義務の内容を特定し、かつ、義務違反に該当する事実を主張・立証する責任は、国の義務違反を主張する原告にある、と解するのが相当である。

 

上でも述べましたが、安全配慮義務違反を主張しなければ、業務上の労災での、会社に対する損害賠償請求はできません。

ですから、ポイントを抑えて安全配慮義務違反を主張する必要があります。

 

ポイント① 事故発生時の状況を正確に把握する!

業務上の労災で会社の安全配慮義務違反を主張する際に最も重要なポイントは、

事故発生時の状況を正確に把握することです。

 

安全配慮義務の内容が、「労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」なわけですから、

安全配慮義務違反については、事故時に「労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるような必要な配慮がなかった」と主張していくことになります。

法律上の文言の安全配慮義務は、あらゆる事案に対応するために抽象的な内容が設定されているだけにすぎませんから、

安全配慮義務違反を主張する際には、事案に応じた個別具体的な安全配慮義務を設定することが必要になります。

ここで、言わなければならないことは3つです。

  1. 「必要な配慮」の内容
  2. 「必要な配慮がなかった」ことにより、損害が発生したこと
  3. 会社は「必要な配慮」を講じることができたにもかかわらずそれをしなかったこと

この3つについて的確な主張・立証をするためには、事故発生時の状況を正確に把握することが必要になります。

 

なお、3つ目の「会社は『必要な配慮』を講じることができたにもかかわらずそれをしなかったこと」というのは、

予見可能性や結果回避可能性と呼ばれるものです。

例えば高所での作業をメインで行う会社の場合だと、労働者に作業中はヘルメット・命綱の着用を義務付けたり、

毎日ヘルメット・命綱を着用しているかをチェックする体制を整えたりすることはその会社の安全配慮義務だといえそうです。

それは、高所での作業をメインで行う会社であれば、労働者が作業中に落下することは十分予見可能だからです。

ですので、先ほど挙げたような配慮を講じておらず、労働者が作業中に落下して怪我をしてしまった、というような場合には、

会社に安全配慮義務違反が認められるということになります。

一方で、一般企業の事務員が休憩中にビルの屋上でタバコを吸っていたところ、誤って転落して怪我をしてしまった、という場合はどうでしょう?

その会社に対して、「ヘルメット・命綱の着用を義務付けたり、チェックする体制を整えていなかったのは安全配慮義務違反だ!」と主張することができるでしょうか?

主張するだけならできるかもしれませんが、認められる可能性はほぼ無いと思われます。

それは、会社は事務員が休憩中にビルの屋上に行って誤って転落する可能性まで予見できない(予見可能性がない)からです。

こういった場合には、会社に安全配慮義務違反は認められないでしょう。

 

お気づきの方もいるかと思いますが、この3つはお互いに密接にかかわっている部分でもあります。

予見可能性は必要な配慮の中身に直結しますし、配慮がなかったからといって、予見可能性がなければ会社の安全配慮義務違反が認められません。

3つの要件すべてについてしっかり主張・立証することが必要になります。

 

Rさんから依頼を受けた弁護士木村治枝は、事故発生時の状況を正確に把握するために、2つの行動をとりました。

 

1つ目は、Rさんから直接事故発生時の状況を聴取することです。

Rさんは事故の被害者であり、発生時の状況を誰よりも詳しく知っています。

被害者ご本人からお話を聞くことは、信頼関係を築くことができたり、

被害者の方が損害賠償請求をする中で真に達成したいことをお聞きできたりするのでとても重要ですが、

今回の事例のように安全配慮義務違反があったかどうかという損害賠償請求権の根本を考える手がかりにもなります。

 

Rさんからお聞きした事故発生時の状況は以下のようなものでした。

  • その日は勤務開始から1週間も経っておらず、講習を受けたこともなかった。
  • 漁師さんが「本当に海に出るのか?」と疑問に思うほど海が荒れていた。波浪注意報も出ていた。
  • 具体的な立ち位置の指示がなく、船の中で一番揺れる、かつ把持物がロープしかない船首に立っていた。
  • あまりにも激しい揺れが起こり、身体が浮いて背中から甲板に叩きつけられた。

 

事故発生時の状況を正確に把握するために弁護士が行ったことの2つ目は、会社から事故発生状況についての資料をもらうことです。

労働災害が発生し、労働者が死亡又は休業した場合には、事業者は遅滞なく労働者死傷病報告等の書類を作成し、

労働基準監督署長に提出する義務があります。

労働基準法施行規則第57条「使用者は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、遅滞なく、それぞれの事実を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。

3号 労働者が事業の附属寄宿舎内で負傷し、窒息し、又は急性中毒にかかり、死亡し又は休業した場合

労働安全衛生規則第97条1項「事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したときは、遅滞なく、様式第二十三号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

 

労働者死傷病報告等の書類は、会社が労働基準監督署長に提出するものではありますが、

労災保険の支給申請をしたり、会社に対して損害賠償請求をしたりする場合には重要な資料になります。

特に会社に対する損害賠償請求においては、被害者と会社両方の言い分を聞くことで、

被害者ご本人と会社の認識の違いがどこに生じているかが分かりますから、より的確な主張・立証ができるようになります。

Rさんの事例でも、会社が作成した事故報告を入手し、検討を行いました。

 

このように、安全配慮義務を考える上では、まずは事故発生時の状況を正確に把握することが非常に重要です。

 

ポイント② 会社と被害者の契約内容や、就業規則などもキーになり得る!

安全配慮義務を考える際には、事故発生時の状況だけでなく、契約内容や就業規則などもキーになり得ます。

例えば契約に含まれていないような時間外労働が日常化しており、過労のあまり不注意で事故を起こしてしまった労働者を考えてみましょう。

事故発生時の状況だけみると、専らその労働者の不注意のせいで事故が発生していますから、

会社が果たすべき安全配慮義務は全うされていたようにみえます。

ですが、その労働者の不注意が起きた原因が、契約に含まれていない時間外労働による過労であれば、

会社は時間外労働を調整するなどして、業務に支障が出るレベルの疲労が生じないようにして、事故を防ぐという、

労働者の身体に必要な配慮をする義務があったはずです。

 

この例のように、事故発生時の状況を作り出したもっと根本の原因を探るために、契約内容や就業規則などが使えるというわけです。

Rさんから依頼を受けた弁護士木村治枝は、先ほど出てきた事故報告書と併せて、

会社に対して労働契約書や、就業規則の開示も求めました。

 

また、業務日報や業務記録簿の開示も求めました。

これは、事故が発生した日の業務が、普段の業務と比較して特殊ではなかったかを確認するためです。

事故が発生した日の業務が、普段の業務と比較して特殊な、難しい業務であった場合には、

その特殊さに応じた指導や教育が必要となるはずです。

このような指導や教育がなかったために事故が発生したという場合には、これも会社側の安全配慮義務違反を主張できる有力な証拠になるでしょう。

 

Rさんの事例における会社側の安全配慮義務は?

弁護士木村治枝は、Rさんから聴取した事故発生時の状況や、会社から開示を受けた資料などをもとに、

本件労災事故における会社側が果たすべきだった安全配慮義務の内容そして、事故当時実際に違反があったかを検討しました。

本件事故における「必要な配慮」の中身とは? 労働者の身体に配慮する義務(てすりやクッション材などを設置して、身体の安定を確保すべきだった。波浪注意報が出ている時に海に出るべきではなかった。)

労働者に教育する義務(揺れの少ない船の後方に移動するよう指示するべきだった。波が荒れている時の注意点を事前に説明するべきだった。)

「必要な配慮」がなかったことで本件事故が発生したか? てすりやクッション材があれば、腰椎圧迫骨折のような大怪我には繋がらなかった。

波浪注意報が出ているので海に出ることを控えていれば事故は発生しなかった。

事前の説明や指示を受け、揺れの少ない船の後方に移動していれば事故は発生しなかった。

会社に予見可能性があったか? 「必要な配慮」がないまま波浪注意報が出るほど荒れている海に出れば、揺れにより転倒などの事故が発生することは当然予見できた。

 

以上のような検討から、弁護士木村治枝は、事故当時、①労働者の身体に配慮する義務②労働者に教育する義務の2つの安全配慮義務について、

会社側に違反があると考え、主張しました。

 

このように、業務中の労災事故における会社側の安全配慮義務を主張する際には、

事故発生時の状況や、事故発生時の状況を作り出した根本の事情など、様々な要因を踏まえつつ、

段階的に丁寧に検討していくことが求められます。

交通事故のように、事案が類型化され、事案ごとに基準となる過失割合などが明確になっているわけではありませんから、

労災事故の安全配慮義務違反の有無や程度(=過失割合)は労働者側の努力や知識によって大きく変えられる部分でもあります。

ですので、業務中の労災事故は弁護士の実力が試される事例といっても良いでしょう。

 

小杉法律事務所の弁護士木村治枝は、社労士資格も有している労災被害者専門の弁護士です。

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過失に争いがあったが慰謝料満額で示談解決!

会社側が安全配慮義務違反を認めない場合にはどうすれば良い?

Rさんの事例では、会社の側にも弁護士がつきました。

業務中の労災事故で被害者が弁護士に依頼すると、会社側もほとんどの事例で弁護士を立ててくるので、

これは予想どおりと言えるでしょう。

 

弁護士木村治枝は、先ほど述べたような、安全配慮義務違反が会社側にあったと主張しましたが、

会社側の依頼を受けた弁護士は、業務中の安全を図るための対処を十分に尽くしており、

安全配慮義務違反は無かったと反論してきました。

 

安全配慮義務違反があったことを認めるということは、単に損害賠償金を支払わなければならなくなるというだけでなく、

会社のイメージダウンにも繋がりかねませんから、示談提示の段階で安全配慮義務違反があったことを易々と認めるということはまずありません。

 

会社側が安全配慮義務違反を認めない場合に、被害者側が取ることができる選択肢は大きく分けて2つです。

  1. 新たな証拠などを提示し、示談段階で安全配慮義務違反を認めさせる。
  2. 裁判を提起し、裁判所に安全配慮義務違反があったという判決を下してもらう。

2の「裁判を提起し、裁判所に安全配慮義務違反があったという判決を下してもらう」というのが、

最も効力が大きいのは言うまでもありません。

判決が確定すれば会社側は安全配慮義務違反がなかったとして争うことができなくなります。

 

一方で、裁判は長期間に渡り、労力もかかります。

裁判の結果、会社に安全配慮義務違反があったことが認められれば良いですが、

敗訴すれば費用と労力をかけただけで終わってしまう可能性もあります。

 

会社の側もそれは同じことです。

安全配慮義務違反が無かったという判決を得ることができれば、労働者に対して損害を賠償する義務も無いということになりますから、

本当に安全配慮義務違反が無かったという確固たる自信があれば、示談段階では安全配慮義務違反は無かったの一点張りでしょう。

 

一方で、裁判は長期間に渡り、労力もかかりますから、できれば早期かつ穏便に解決したいとも考えます。

 

労働者側も、会社側も、示談段階でお互い納得がいくような解決ができればそれに越したことはありません。

Rさんの事例でも、会社側についた弁護士は、安全配慮義務違反があったとは認めなかったものの、和解を提案してきました。

Rさんご自身も、裁判になり、事案が長期化することをあまり望まれてはいませんでしたので、

弁護士木村治枝は、和解の道を探ることになりました。

 

①傷害慰謝料&後遺症慰謝料 請求額の満額で示談!

慰謝料の基準として実務において最も利用されているのは、『民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準』(日弁連交通事故相談センター編)でしょう。

交通事故訴訟における損害賠償額算定の基準ではありますが、損害賠償請求全般で高い支持を得ている基準です。

 

損害賠償請求における慰謝料は大きく分けて3つあります。

  1. 傷害慰謝料:怪我をした辛さや入通院の苦しみに対する慰謝料
  2. 後遺症慰謝料:後遺症が残存してしまった苦しみに対する慰謝料
  3. 死亡慰謝料:亡くなってしまった辛さや無念に対する慰謝料

Rさんの場合に請求できるのは、1.傷害慰謝料と、2.後遺症慰謝料ということになります。

傷害慰謝料は、『民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準』では、原則として入通院の日数によって変動することになっています。

今回Rさんは約2か月の入院と、約4か月の通院が必要な大怪我でしたので、

この入通院日数から、約165万円を傷害慰謝料として請求したところ、満額の支払いを認めてもらうことができました。

 

また、後遺症慰謝料は、『民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準』では、

原則として残存した後遺症に認定された後遺障害等級によって決定されます。

Rさんは腰椎圧迫骨折によるせき柱の変形障害が、労働者災害補償保険法施行規則第14条に定める障害等級における「11級の5」に該当するという判断が労災から下されました。

11級の後遺症慰謝料は、基準どおりでいくと420万円とされています。

この420万円を後遺症慰謝料として請求したところ、満額の支払いを認めてもらうことができました。

 

傷害慰謝料・後遺症慰謝料ともに満額の支払いが認められ、慰謝料だけで約600万円を獲得することができました!

 

②休業損害 請求額の満額で示談!

労働者の方の多くは、給与所得者であることが多いです。

給与所得者の方の休業損害は、多くの場合、「基礎日額×休業日数」という形で算定されます。

基礎日額は、事故前3か月間の総収入を実稼働日数で割って算出したものとされることが一般的です。

休業日数は、文字のとおり休業した日数です。労災事故の場合だと、休業給付支給請求書を作成する際に、

主治医に記載してもらう「療養のため労働することができなかったと認められる期間」を用いることが多いです。

 

例えば、月の勤務日数が20日で、月収が30万円の方を考えてみます。

事故前3か月間の総収入は、30万円×3か月=90万円です。

月の勤務日数が20日ですから、事故前3か月間の総勤務日数は、20日×3か月=60日です。

この方の基礎日額は、90万円÷60日=1万5000円となります。

 

「療養のために労働することができなかったと認められる期間」が50日だったとすると、

この方の休業損害は、基礎日額×休業日数ですから、

1万5000円×50日=75万円ということになりますね。

 

Rさんの場合を見てみましょう。

Rさんはアルバイト契約を締結しており、労働契約書には時給と1日の所定労働時間の記載がありました。

Rさんの基礎日額は時給×1日の所定労働時間で算出することができますね。

また、「療養のために労働することができなかったと認められる期間」の記載もありましたから、

Rさんの休業損害は簡単に算出することができ、約50万円でした。

その約50万円について休業損害として請求したところ、全額の支払いを認めてもらうことができました。

 

③逸失利益 事故前年の給与収入を基礎とする金額全額で示談!

逸失利益とは、後遺症が残存してしまったために、将来にわたって働けなくなったことによる損害です。

逸失利益の計算は、「基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間(に対応するライプニッツ係数)」で行われます。

 

労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数とは中間利息控除の為に乗じられる係数です。

被害者が将来長期間にかけて取得するはずであった利益を、現在の一時金としてまとめて支給するものなので、

本来ならばただちに手に入らないはずの金銭を受領できます。

そうするとそれを法定利率で運用した場合、本来は得られないはずの利息を得ることができるという不公平な結果になってしまいます。

これを防ぐために、法定利率で運用した場合に発生する利息分を控除するための係数です。

 

労働能力喪失率は、後遺障害等級に応じて決定されるのが実務上一般的です。
Rさんは11級の5が認定されています。11級の労働能力喪失率は20%とされています。

 

労働能力喪失期間は、むち打ちなどの比較的軽い類型に分類される後遺症を除いて、就労の終期とされる67歳までの期間とされることが多いです。

Rさんの事例でも、67歳までで請求を行いました。

 

Rさんの基礎収入×労働能力喪失率20%×67歳までの期間に対応するライプニッツ係数で算出される逸失利益は、

約130万円でしたが、その全額について、支払いを認めてもらうことができました。

 

④その他損害も満額で示談!

その他の損害として、通院交通費や、入院雑費なども請求していましたが、それらについても全額の支払いを認めてもらうことができました。

 

⑤約800万円での示談解決ができたからくりは?

上で見てきたように、請求のほぼすべてで満額の支払いを認めてもらうことができ、約800万円の示談解決ができました。

Rさんは治療費の全額、休業損害の一部、逸失利益の一部をそれぞれ労災から支給を受けていましたが、それらを差し引いて、

かつ会社側が安全配慮義務違反を認めていないにもかかわらず、示談で約800万円の解決というのは非常に高額な解決だと思われます。

 

このような理想的な解決ができたことには、あるからくりがあります。

それは、最初の示談提示時に、後遺症による逸失利益の算出を基礎収入で行わなかったことです。

実はRさんは今回業務上の労災事故が起きたアルバイトの他に、自営業も行っていました。

『民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準』(日弁連交通事故相談センター編)では、自営業者の逸失利益について、

現実収入が平均賃金以下の場合、平均賃金が得られる蓋然性があれば、男女別の賃金センサスによる。」との記載があります。

賃金センサスとは、厚生労働省が毎年行っている賃金構造基本統計調査の結果です。

つまり、平均賃金が得られる蓋然性があれば、現実の収入が平均賃金以下であっても、基礎収入に統計結果に基づく平均賃金を用いて良いということです。

 

ただしこれは、簡単に認められるものではありません。

Rさんの事例でも、平均賃金を基礎収入として算出した逸失利益は不当に高すぎるとして否定され、

現実の収入に基づく逸失利益分の支払いしか認めてくれませんでした。

ですが、最初の示談提示から、被害者側が現実の収入に基づく逸失利益を主張していたら、慰謝料などは減額されていたと思います。

つまり、最初は敢えて狙いより高めの示談提示をし、相手に譲歩させる分を確保しておくという交渉上の作戦が上手くはまったというわけです。

 

このように、示談交渉は裁判のように第三者が判断を下すということはありません。

労働者側と、会社側のどちらも納得しなければ、和解はできませんから、交渉の上手さで賠償額が大きく変わることもあります。

業務上の労災事故をはじめとする損害賠償請求を、損害賠償請求専門の弁護士に依頼した方が良い理由の一つがここにあります。

 

依頼者の声(Rさん・50代・男性・アルバイト)

木村先生は、事故の状況や、会社に請求したいことなどを丁寧に聞き取ってくださり、

それを会社への請求に反映してくださいました。

木村先生に依頼していなかったら、会社は「責任がない」の一点張りで、1円も払ってくれなかった可能性もあると思います。

労災に詳しい弁護士に相談して本当に良かったと思います。

 

弁護士木村治枝のコメント:業務上の労災事故は労災被害者専門弁護士にご依頼を!

木村治枝弁護士

今回のRさんの事例は、会社側が安全配慮義務違反を認めなかったにもかかわらず、和解が成立したという珍しいケースでした。

また、最初の示談提示時に、裁判になった際に考えられる最大を請求することで、慰謝料等を満額支払ってもらうという、

交渉術も上手くいったケースです。

もちろん何の根拠もない請求をしても一蹴されるだけですから、根拠をきちんと示すことが重要です。

損害賠償請求の知識と、業務上の労災事故特有の知識どちらも必要な事案でしたが、和解における解決の中では完璧に近い解決だったと思います。

 

このように、業務上の労災事故の損害賠償請求は、多くの知識を必要としますから、労災被害者専門の弁護士にご依頼されるのが得策と言えます。

当事務所では、無料の法律相談を実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

労災被害者専門弁護士への無料相談はこちらのページから。

この記事の執筆者

小杉 晴洋
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数1000件超。

経歴
小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身・福岡市在住。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(当時。現「神奈川県弁護士会」)に登録後(損害賠償研究会所属)、福岡県弁護士会に登録換え(交通事故委員会所属)。

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