労災事故の解決実績

9級 休業(補償)給付 療養(補償)給付 醜状 障害(補償)給付

「労災の利用」と「労災との敵対」により解決した事例|弁護士小杉晴洋

Gさん 40代・男性・会社員(横浜市)

示談交渉

通勤災害にて顔に傷を負ってしまったGさんの解決事例です。

通勤災害の場合で、過失割合がない(=加害者が全面的に悪い)事例ですと、加害者サイドの保険会社から損害賠償金額を全額払わせればよく、労災を使うメリットというのは、特別支給金の支払程度となることが多いです。

しかしながら、本件事故では、加害者の側が「無保険」という特殊性がありました。

加害者の資力調査を行ったところ、主だった財産は見つからず、なんとかGさんの損害賠償金額を工面してもらわないといけません。

なお、加害者には破産申立てという選択肢もありますが、加害者が全面的に悪い事故でしたので、破産申立てをしたとしても、重過失の事故として非免責(=損害賠償債務はチャラにならない)という結果となります。

そこで、弁護士小杉が取った施策は、「労災の利用」と「労災との敵対」でした。

 

弁護士による「労災利用」戦略

Gさんご依頼を受けた後は、加害者の資産調査、Gさんの後遺障害の調査、Gさんの損害算定などを行いますが、資産調査の結果としては、強制執行を行ったとしても、損害賠償金額の回収は困難だなという結論に至りました。

そうすると、加害者から直接損害賠償金額を支払ってもらわないといけませんので、加害者の手元にあるお金はなるべく多く残しておいてもらった方が得策ということになります。

そこで、労災の対象となっていない「慰謝料」以外の損害費目については、なるべく労災から回収するという労災利用戦略を立てました。

療養給付、休業給付及び障害給付など、合計約1,000万円の金額を、労災保険から獲得することに成功しました。

 

弁護士による「労災との敵対」戦略

労災というのは、「第三者行為」といって、加害者の存在する労災事故においては「求償」請求を行ってきます。

Gさんの事例で置き換えれば、Gさんについて支払われた約1,000万円について、労働基準監督署から加害者に対して「1,000万円支払え」という求償請求がなされることになるのです。

のんびり事件処理をしていたのでは、労災と我々サイドとの、お金の取り合いとなってしまいますので、弁護士小杉としては、労災よりも先に損害賠償金額を回収することを目論んでいました。

 

まだ労災認定が出る前の時期ですが、Gさんに事務所にお越しいただいた際に、顔の傷の長さをメジャーで測らせていただいていたので、後遺障害等級9級の認定がなされる見込みはついていました。

そうすると、後遺障害慰謝料額は裁判基準で690万円となり、傷害慰謝料と合わせると810万円の算定が見込まれました。

一括で800万円なる金額を支払ってもらうのは困難が予想されましたので、加害者と事前に交渉をして、後遺障害等級が出る前の段階であらかじめ、現在用意できる最大額である約200万円を振り込んでもらいました。

それ以上の金額は加害者が当時の時点では支払うことができなかったのと、やや線状痕が薄かったため、後遺障害等級9級の認定も確定的ではなかったことから、その余の慰謝料金額は労災の後遺障害等級認定の後に行うこととしました。

 

見立てどおり労働基準監督署より後遺障害等級9級の11の2の認定がなされましたので、その後すぐに加害者との示談交渉を再開させました。

労災の求償請求よりも前に解決をする必要があったためです。

 

慰謝料残額が約600万円ほどありましたので、一括の支払は難しい状況にありました。

ただし、細かな分割としてしまうと、結局は労災の求償請求と競合してしまいますので、百万円単位の分割で何とか慰謝料金額の工面をしてもらうことで話をつけました。

 

分割支払いとなると、約束したものの、「やっぱり用意できなかった」といった事態を招く可能性があるため、加害者に公証人役場まで出向いてもらって、公正証書による示談書を取り付けました。

なお、公証人役場への出席は、弁護士による代理が可能ですので、労災被害者の方に直接出向いていただく必要はありません。

 

公正証書の甲斐あり(公正証書どおりに支払わなかった場合、民事裁判を経ることなく強制執行が行えます。)、無事に、慰謝料金額が全額振込まれました。

 

労災は味方にも敵にもなり得るので弁護士の手を借りて上手に利用しましょう

労災は、業務災害事故や通勤災害事故の被害者にとって、療養(補償)給付・休業(補償)給付・障害(補償)給付などを支給してくれる味方の存在です。

ただし、公平な立場でもありますので(事例によっては加害者・会社寄り)、上手く利用しないと味方になってくれません。

 

また、味方になってくれたとしても、ずっと味方でい続けてくれるわけではなく、本件事故のように加害者の資産を回収しようとする動きを見せてきます。

これは労災被害者にとっては、敵対行為そのものです。

 

労災は味方にも敵にもなり得ますので、専門の弁護士に依頼をして上手に利用しましょう。

弁護士法人小杉法律事務所では、弁護士資格のみならず社会保険労務士資格も有する木村治枝が、労災を専門的に取り扱っておりますので、まずは無料相談をお試しください。

 

 

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。