労災コラム

高次脳機能障害

裁判・労働審判

解決事例

【業務中災害解決事例】労災事故からしばらくして脳梗塞の発症をしたケースで、医師の意見書を取り付け高次脳機能障害1級を獲得した事例

2020.08.20

【高次脳機能障害】労災事故からしばらくして脳梗塞の発症をしたケースで、医師の意見書を取り付け障害等級1級を獲得した事例

解決事例のポイント

脳外科医との医師面談を実施して、意見書を作成し、高次脳機能障害1級を獲得

相談前

Eさんは60代の自営業男性です。

仕事で車を運転していたところ、一時停止無視の車に衝突されてしまい、脳挫傷や肋骨骨折の大怪我を負ってしまいます。

Eさんは手術後の懸命のリハビリによって、なんとか退院できる程度にまで回復しますが、その後、脳梗塞となり、再度入院をして、寝たきりの状態になってしまいました。

加害者の保険会社担当者は、寝たきりの状態となってしまったのは、交通事故の後の脳梗塞によるもので、事故とは関係が無いと主張してきました。

自賠責保険の判断も、脳萎縮の進行が一度止まった後に、脳梗塞後にまた進行が進んでいることからして、脳梗塞後の症状は交通事故との相当因果関係が認められず、高次脳機能障害の程度としては5級に該当する(他の後遺障害と合わせて併合4級)との判断がなされました。

Eさんのご家族はどうしたらよいのか分からず、弁護士に法律相談することにしました。

脳外科医との医師面談の実施

非常に難しい事案であることから、まずはEさんの入院記録など医学的な証拠をすべて取寄せるところからスタートしました。

膨大なカルテ量でしたが、それらをすべて分析した上で、脳外科医の見解を得ることにしました。

総合病院の脳外科医師と自賠責保険の後遺障害等級認定理由について打合せをしたところ、事故の後にしばらく経過してから脳萎縮の進行が認められる症例は散見するところであり、脳萎縮の進行具合のみからEさんの高次脳機能障害の因果関係を否定する自賠責保険の判断は誤りである旨の意見を得ることができました。

また、Eさんの経過からして、交通事故以外にEさんの高次脳機能障害の症状の悪化は説明できないとの意見を得ることができました。

そこで、医師から伺った内容をこちらで整理して医学的意見書のたたき台を作成し、それを当該脳外科医の先生にチェックしてもらい、署名と押印を頂くことができました。

労災申請による障害等級1級の獲得

自賠責保険の判断は高次脳機能障害5級というものでしたが、Eさんは自営業者であるものの、労災保険特別加入をしていたため、労災が使えることが判明しました。

そこで、労働基準監督署に対して障害給付の申請を行うことにしました。

脳外科医の意見書に加え、弁護士の意見書も添えて、障害給付の申請をしたところ、高次脳機能障害で1級を獲得することができました。

民事裁判 横浜地方裁判所小田原支部

労働基準監督署の高次脳機能障害1級の認定を元に交渉をしましたが、相手方としては自賠責保険の後遺障害等級併合4級に依拠するとの回答でしたので、裁判をすることにしました。

裁判では、自賠責保険の高次脳機能障害5級の判断が誤りであることを脳外科医の医学的意見書から立証をし、労災の高次脳機能障害1級の認定が正しいことを主張していきました。

事前に裏付けとなる証拠を揃えていたことから、裁判官も原告側の主張を認めてくれて、後遺障害等級1級の和解をすることができ、解決となりました。

弁護士小杉晴洋のコメント:適切な障害等級の獲得は専門の弁護士でなければ困難です

Eさんは寝たきりとなってしまいましたので、高次脳機能障害5級の症状ではありませんでした。

事故の前は元気だったEさんですから、寝たきりの症状となることが交通事故以外に無いことの立証を行えば、症状に応じた後遺障害等級の認定を得ることができます。

そして、その判断は、医学的な証拠に基づく必要がありますので、専門医のサポートを受けなければ実現できません。

当事務所では医師面談の実施や意見書の作成など医学的な証拠による裏付けに力を入れていて、障害等級の獲得を得意としています。

労災事故に遭い後遺症を残してしまったという方については、まずは被害者側専門の弁護士に相談されることをお勧めいたします。

この記事の執筆者

小杉 晴洋
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災などの損害賠償請求解決件数1000件超。

経歴
小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身・福岡市在住。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(当時。現「神奈川県弁護士会」)に登録後(損害賠償研究会所属)、福岡県弁護士会に登録換え(交通事故委員会所属)。